こんにちは。
突然ですが、みなさんは「宅建」という言葉はご存じですか。
「宅建」とは「宅地建物取引士(以下、宅建士)」の略称で、不動産取引を適正に行うための専門家を指す国家資格です。
そして、この宅建士になるための資格試験が毎年行われていて、年間20万人が受験をしています。
宅建試験では、毎年合格率は約13~18%と狭き門であり、勉強はとても大変ですが、その分宅建士にしか出来ない独占業務もあります。
そんな独占業務資格「宅建士」にしか出来ない業務のはなしを今回は解説しています。
まさしく僕と同じ名前の「宅建」。宅建について勉強していくぞ~!
宅建士が持つ国家資格は不動産業界だけではなく、金融業界や保険業界、建築業界でも役立つ資格なんですよ。
難易度は高いですが、将来性があるのが宅建の魅力ですね。
5人に1人以上専任の宅建士が必要
宅建業を営むには、1つの事務所において、業務に従事する者の数の5分の1以上の割合で、専任の宅建士を設置することが義務付けられています。
しかし、見方をかえると5人の内4人は宅建士の資格がなくても宅建業上は問題ないということになります。
つまり、設置義務を守っていれば、ほかの従業員が宅建の資格を持っていなくても問題ないということです。
ただし、宅建士にしか出来ない独占業務も存在します。
宅建士にしか出来ない業務とは
不動産取引はとても高額です。
お客さんの多くは不動産に関する専門知識や売買経験がほとんどないため、不当な契約を結んでしまうと思わぬ損害を被ることがあります。
そのようなことがないように、不動産取引の専門家である宅建士は具体的にどういったことが出来るのでしょうか。
宅建士にしか出来ない業務を解説していきます。
①重要事項の説明
- 宅建士は、お客様に契約成立前に契約の重要な内容を説明します。
- 重要事項説明は、必ず宅建士が行います。
- 重要事項説明の説明場所に、制限はなく、基本どこでも良いとされています。
- 宅建士が記名した書面を交付し宅建士証を提示して説明をします。(宅建士による押印は不要)
宅建業法では、契約の終結前に不動産会社からお客さんに対して、物件に関わる事項や取引条件に関する事項について説明をしなければならないと定めています。
それが、宅建士の業務にある「重要事項説明」です。
先ほど申し上げたように、不動産は極めて高額なものです。
人生でそう何度も買い替えたりするものではありません。
それに対して、このような不動産取引を日常的に行っている専門知識や経験が豊富な不動産会社には、お客さんが知っておくべき重要な事項について説明をする責任があります。
また、2022年5月18日に宅地建物取引業法(宅建業法)が改正されました。
この法改正は、おもに社会のIT化を図るデジタル改革関連法をもとに行われ、不動産業務の電子化を目指すものです。
この際に、変更された点のひとつは宅建士による押印義務の廃止です。(注1)
従来、宅地建物の取引を行う際は、「重要事項説明書」と「宅地建物の売買・交換・賃貸終結後の交付書面」について宅建士の記名・押印が不可欠でした。
しかし、この法改正により押印義務が廃止されています。
(注1)宅地建物取引業の解釈・運用の考え方/国土交通省
新旧対象条文
重要事項説明の役割ってとっても重要なんだね。
契約後のトラブルを未然に防ぐ上でも、契約成立前に宅建士が責任をもって、重要事項の説明をしなければならないんですね。
重要事項の説明方法
宅地建物取引士(必ずしも専任である必要はありません)
契約が成立する前
基本的に定めはなし(どこでも良いです)
- 売買:買主のみ 売主には説明する必要はない
- 賃借:借主のみ 貸主には説明する必要はない
- 交換:両当事者説明必要
相手方(買主・借主)が宅建業者の場合:重要事項説明は基本的に不要
宅建士が記名をした書面を交付し、取引証を提示しながら説明をします
※相手から提示の請求がなくても、取引証は提示しなければなりません
②重要事項説明書(35条書面)への記名
- 宅建士が重要事項について十分な調査を行い、正確な説明を行ったとして、責任を明確にするために宅建士自らが記名をしなければなりません。
①で解説をした重要事項の説明では、口頭で説明をするだけではなく、重要事項が記載された書面をお客さんに交付しなければなりません。
この書面を「重要事項説明書(35条書面)」といい、宅建士による記名が必要となります。
重要事項を口頭で説明をしただけでは、後日「言った」「言わなかった」などの紛争が生じた場合に本当に説明をしたのか不明であり、またお客さんがきちんと説明内容を理解出来たのかがハッキリとしないことがあります。
そのため、宅建士が記名をした上で重要事項説明書をお客さんに交付することで、説明を行ったことの証明と、お客さんの理解を確認し、適正に不動産取引が行われたことを担保します。
③契約書(37条書面)への記名
- 宅建士が契約の内容を確認し、誤りがないことを証明するために宅建士自らが記名をします。
契約が成立した後にも、一定の事項を記載した書面を交付することが義務付けられています。
この書面を「37条書面」といい、37条書面についても宅建士による記名が必要です。
不動産取引の専門家とされる宅建士が記名をすることで、契約の当事者双方が納得をした形で、契約終結したことが証明され、適正な不動産取引がされたことを証明します。
これら①~③の業務は、宅建業法上、宅建士だけが行うこととされている業務です。
宅建士が活躍できる場所
- ①不動産業界
-
宅建士が最も求められているのは、なんと言っても不動産会社です。
不動産取引を業としている不動産会社のことを「宅地建物取引業者」といい、宅建士を一定数確保することが義務付けられています。
宅建士の仕事は、不動産取引における重要事項の説明や、35条書面・37条書面への記名です。これは宅建士でなければできません。
そのため、不動産取引を事業とする不動産業界では宅建士の存在が不可欠となっています。 - ②金融業界
-
銀行や証券会社、保険会社といった金融業界でも、宅建士の資格を活かして仕事をすることが出来ます。
何故なら、不動産を担保にして融資を行うことが多いため、宅建士の知識が必要となるからです。 - ③建設業界
-
建設業界では、建築士がいれば家を設計することは出来ますが、建築した不動産の販売や賃貸は宅建士がいなければできません。
そのために、自社で不動産取引を行うことが出来るように、建設会社の中に不動産部門を設置するような会社もあります。
まとめ
今回は、不動産業界の人気資格「宅建士」の独占業務について解説していきました。
また、当事務所では、宅建業免許の取得や免許の更新、変更などのご相談、手続き代行・サポートを行っています。
何かお困りの際は、ぜひ一度ご相談くださいね。
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