【5分で分かる】一般のお酒販売免許だとイベントでお酒を売れないの?期限付酒類小売業免許とは?

太郎

イベント初出店!気合い入れて頑張るぞ!

花子

普段、お酒を製造している太郎さん!
今回はどんなイベントに参加するの?

太郎

東京で行われる日本酒の展示会で、
地方ならではの地酒を販売する予定だよ!

花子

じゃあ”期限付酒類小売業免許”が必要だね!

太郎

え、そうなの?
どうしよう全然わからないや。花子さん教えて!

花子

もちろんだよ!今回もわかりやすく解説していくね!

具体的な要件や手続きは地域や国によって異なりますので、詳細な情報は臨時販売場の所在地の所轄税務署にお問い合わせください。

目次

期限付酒類小売業免許とは

普段は、自店・自社で営業をされている酒類事業者が展示会や物産店などのイベント等で、訪れる客に対してその開催期間中、臨時に酒類を販売することで認知度アップや新規顧客の獲得を狙ったりすることがありますよね。

上記のように「イベントなどに期間限定で未開封のお酒を販売する」際には、税務署長は、その販売場に係る販売業免許について期限を付することができることとされています。それが、今回解説する「期限付酒類小売業免許」です。

要するに、あらかじめ酒類販売免許または酒類製造免許を取得している酒類事業者の方が、イベントなどに参加する場合に免許を付与された酒類販売所以外の場所で酒類を販売していいよと税務署から許可をもらうことです。

期限付酒類小売業免許とはイベントなどに期間限定で未開封のお酒を販売するために必要な許可を説明するイメージ画像

期限付酒類小売業免許を受ける人と一定の要件を満たす人の違い

期限付酒類小売業免許を受けるためには、原則として、販売場を開設する日の2週間前までに申請する必要がありますが、一定の要件を満たす場合には、販売場を開設する日の10日前までに届け出ることで、期限付酒類小売業免許を受けたものとして扱ってくれます。

つまり、期限付酒類小売業免許の取得には「申請」と「届出」の2つのパターンがあるので、注意しましょう。

期限付酒類小売業免許が申請もしくは届出のどちらになるかを判定するための表

※国税庁HP期限付免許判定フローチャートを参照

届出をする方の要件

  • 届出者が、酒類製造者または酒類販売業者であること
  • イベントなど開催期間のうち、酒類販売期間が10日以内(連続した日でなくてもよい)
  • 同一者による同一場所での届出が開設日前1ヶ月以内にされていない
  • イベントなどの開催期間・開催期日が明確である
  • イベントなどの開催場所以外への酒類の配達をしない(購入者の宅配便等の利用はOK)
  • 免許を受けた酒類品目の範囲内での販売であり、小売目的が特売・在庫処分などではない
  • イベントなどの管理者との契約等で販売場の設置場所が特定できる

届出をする方の必要書類

期限付酒類小売業免許届出書

添付書類

申請をする方の要件

  • 原則として、申請者が酒類製造者または酒類販売業者であり*、下記の要件を満たすこと
  • 同一者による同一場所での届出が開設日前1ヶ月以内にされていない
  • イベントなどの開催期間・開催期日が明確である
  • 免許を受けた酒類品目の範囲内での販売であり、小売目的が特売・在庫処分などではない
  • イベントなどの管理者との契約等で販売場の設置場所が特定できる

※当記事の一般酒類小売業免許や酒類製造免許を持っていなくても期限付酒類小売業免許が取得できるパターンをご参照ください。

申請をする方の必要書類

酒類販売業免許申請書

添付書類

  1. 販売場の敷地の状況
  2. 建物等の配置図(建物の構造を示す図面)
  3. 事業の概要(販売設備状況書)
  4. 「酒類の販売管理の方法」に関する取組計画書
  5. 酒類販売業免許の免許要件誓約書
  6. 定款の写し
  7. 契約書などの写し
  8. 地方税の納税証明書
  9. 酒類販売管理者選任(解任)届出書
  10. 販売所を設置しようとしている場所およびその催物についての説明書
  11. 既免許者でない場合には申請販売場における酒類小売業廃止の際の手持酒類の処分方法及びその引渡先の酒類製造業者又は酒類販売業者の引取確約書等
    ※当記事の一般酒類小売業免許や酒類製造免許を持っていなくても期限付酒類小売業免許が取得できるパターンをご参照ください。

酒類販売管理者の選任について

期限付酒類小売業免許の取得手続きにおいては、「届出」でも「申請」でも、酒類販売管理者を選任する必要があります

酒類販売管理者に選任できる人は、酒類販売業務に従事している従業員であり、かつ、指定の研修を受講した人でなければなりません。

酒類販売管理者は、原則として、販売場ごとに設置する必要があるため、期限付酒類小売業免許の販売所においても新たな酒類販売管理者を選任する必要があります。

しかし、酒類販売管理者を何人も選任できない人的に余裕がない酒類事業者もあるかと思います。そのような事情が考慮され、例外的措置として、本来の販売場の近隣で行われる1週間程度の短期間のイベント等への出店の場合には、酒類販売管理者を重複して選任しても差し支えないとされています。

ただしこの場合でも、本来の販売場には、「酒類販売管理者の代行者としての責任者」を設置する必要があることを押さえておきましょう。

本来の販売場と期間限定の販売場のそれぞれで酒類免許販売管理者を選任することを説明する画像

申請または届出場所について

臨時販売場の所在地の所轄税務署に、申請書または届出書を提出します。


申請または届出後は審査⇒通知⇒受領の流れになります。
※届出の場合は審査期間はありませんが、書類に不備などがあると取得できませんのでご注意ください。

免許取得の費用について

期限付酒類小売業免許の取得費用に関しては、申請と届出どちらも登録免許税は不要です。したがって、自身で手続きをすべて行えば、原則として取得費用はかかりません。

ですが、添付資料も多く、申請または届出の際には所轄税務署に足を運ぶ必要があり、手間と時間がかかります。イベント準備ともなると申請または届出手続き以外にもやるべきことがたくさんあるでしょう。

そういった場合は、有料にはなりますが、お近くの行政書士にご相談されることをおすすめします。

販売期間終了後にやること

臨時販売場の開設期間が終了後、期限付酒類小売業免許の申請・届出を行った税務署に対して、販売数量の報告義務(酒類の販売数量等報告書)があります。

また、「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」の実施状況等報告書も提出する必要があり、実施状況等報告を行わなかった場合、50万円以下の罰金に処せられることもあるので、販売が完了したら、しっかりと報告書を作成し提出しましょう。

「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」についてさらに詳しく掘り下げると、酒類販売事業者は、酒類業組合法第86条の6第1項の規定に基づき、「二十歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨を表示しなければなりません

期限付出小売業免許による酒類の臨時販売場においても同様に、酒類の陳列場所には以下の事項を表示しなければなりません。

  • 酒類の売場である
  • 酒類の陳列場所である
  • 20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない

※これらの表示は、酒類の陳列場所の見やすい箇所に表示し、使用する文字は、100ポイント以上の大きさの日本文字でなければなりません。

一般の酒類小売業免許や酒類製造免許を持っていなくても
期限付酒類小売業免許が取得できるパターン

キャンプ場、スキー場、海水浴場など、シーズンによってお客さんが集まる場所や、シーズンイベントでなくても臨時に人が集まる場所ではあらかじめ酒類小売業免許や酒類製造業免許を持っていない方でも期限付酒類小売業免許を取れることがあります。

この場合は、

  • アルコール以外の清涼飲料または嗜好飲料の販売事業者であること
  • 固定した店舗があること
  • 販売場廃止後(海水浴場・スキー場のシーズン営業終了後など)、酒類の引渡先および引渡期日があらかじめ定められていること
    ※引渡先は引渡酒類の製造者または酒類販売業者に限ります。
  • 引渡先が確実に引き取る旨の確約書を提出すること

といった条件をクリアする必要があります。

酒類の販売業免許が不要なパターン

酒税法では、居酒屋や、レストラン、その他の酒類を提供するに業については、販売業免許を受ける必要がないこととされていることから、例えば、祭りの会場においてビール等コップに注ぐなどその場で酒類を提供するような場合は、販売業免許は必要ありません

※消費者に対して単に未開封の缶やびん詰めの酒類を販売する行為であって、その場以外で飲用に供することを予知して販売する場合は、酒税法上の販売業免許が必要となります。

つまりイベント会場などで、その場で飲むためのお酒をコップなどに注いで提供する場合には、期限付酒類小売業免許を取得する必要はありません。

まとめ

今回は酒類小売業免許の「期限付酒類小売業免許」について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

おさらいすると、通常、酒類の販売には法的な規制があり、これに従って事業者は特別な許可を取得する必要があります。期限付酒類小売業免許は、許可を特定の期間で制限された時間に利用するということです。

イベントなどに参加する場合は、①期限付酒類小売業免許を取得する必要があるのか、免許を取得する必要がある場合は②自分が「申請」と「届出」のどちらに当てはまるかの2つのポイントをおさえておくととてもスムーズです。

当事務所では、酒類に係る免許の取得についてもお手伝いさせていただいております。ご検討されている方は一度ご相談ください。

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