僕が作っている日本酒を、海外に販売してもいいかな?
2021年(令和3年)4月から「輸出用清酒製造免許」という制度が新設されたから免許を取得すれば可能だよ!
そうだったの!?じゃあ早速申請しようっと!
許可要件は一般の酒類製造免許より緩和されているけど、輸出用で製造した日本酒は国内に販売できないみたいだから注意してね。
輸出用清酒製造免許とは?
輸出用日本酒(以下、清酒という。)をはじめ酒類の製造には、酒税法の規定により、免許が必要になります。
輸出用清酒製造免許は、清酒の輸出拡大に向けた取組などを後押しするため、一定の条件の下で、輸出用の清酒を製造する場合に限って、取得のための一部の要件を緩和して付与する免許です。
輸出用清酒製造免許の申請受付はいつから?
令和2年度の税制改正により、輸出用清酒製造免許制度が令和3年4月から、輸出用清酒製造免許の申請が可能となりました。
「清酒が国際的に人気で需要が高い」「国内でいいもの・売れるものを作って日本ブランドを広めていきたい」という背景から輸出用清酒製造免許制度が新設されました。免許取得のための要件が一部緩和しており、例えば輸出用に限って清酒の最低製造数量基準(60㎘)を適用しないこととされています。
取得すると何ができるの?嬉しいメリット!
この免許により、次のようなことが可能になります。
- 特定の輸出国をターゲットにした高付加価値の清酒を少量から製造できる製造場を、新たに設置すること
- 委託醸造により製造した清酒を輸出していた方が、自社製品の輸出に切り替えること
- 清酒製造に関心のある方が、新たに輸出用の清酒製造事業に参入すること
- どぶろくの製造者が、追加的な設備投資を抑え、輸出用の清酒を製造すること
- 海外で清酒を製造し現地で販売していた方が、清酒の本場である日本で製造・輸出することで、品質の向上やブランド化による販路拡大を図ること
※国税庁「輸出用清酒製造免許の取得をご検討の方へ」参照
取得のための要件は?
輸出用清酒製造免許は、最低製造数量基準(清酒は 60 ㎘)の適用がされないほかに、需給調整要件*についても適用除外となっています。
また、輸出用清酒製造免許によって製造する清酒は、海外におけるブランド価値向上等を目的として設けられた制度により、酒税法第3条第7号*に定める清酒のうち、米及び米こうじに国内産米のみを用いて国内で製造、容器詰めしたものに限ります。
*需給調整要件とは、
①申請者が、設立の趣旨からみて販売先が原則としてその構成員に特定されている法人もしくは団体でない
②申請者が、酒場、旅館、料理店など酒類を扱う接客業者でない
ことをいいます。
*酒税法第3条第7号≪その他の用語の定義≫
清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が 22 度未満のものをいいます。
イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(そ
の原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えな
いものに限る。)
ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの
なお、輸出用清酒製造免許により製造した清酒については、輸出するために製造するものであることから、原則として国内に移出することはできません。
ですが、以下の場合であって無償で提供するものについては、輸出するために必要な行為であると考えられることから、国内への課税移出が可能です。
- 国内で開催される輸出のための商談会等に使用する場合
- 商社等の輸出業者へサンプルとして提供する場合
- 国税局が実施する品質審査等に提出する場合
申請に必要な書類
申請書類
- 酒類製造免許申請書
- 製造免許申請書次葉1「製造上の敷地の状況」
- 製造免許申請書次葉2「建物等の配置図(建物の構造を示す図面)」
- 製造免許申請書次葉3「製造方法」
- 清酒の1仕込製造方法
- 酒母の1仕込製造方法
- 製造免許申請書次葉4「製造場の設備の状況」
- 製造免許申請書次葉5「事業の概要」「収支の見込み」「所要資金の額及び調達方法」
添付書類
- 酒類製造免許の免許要件誓約書
- 申請者又は役員の履歴書
- 登記事項証明書及び定款
- 契約書等の写し
- 都道府県及び市区町村が発行する納税証明書
- 最終事業年度以前3事業年度(年間)の財務諸表
- 酒類の製造について必要な技術的脳直を備えていることを記載した書類(製造技術責任者の履歴書)
- 輸出に関する書類
- 土地及び建物の登記事項証明書
※国税庁「酒類製造免許申請書等の作成マニュアル(輸出用清酒製造免許用)」を参照
申請の流れ
輸出用清酒製造免許の許可申請は、所在地の所轄税務署長に提出する必要があります。
免許の要件をクリアしているのか、必要な書類を用意できそうかを確認します。
申請書および添付書類を用意し、酒類製造免許を受けようとする製造所の所在地の所轄税務署長に提出します。
申請書類の審査には、その時の申請件数や補正の有無にもよりますが原則として標準処理期間4か月がかかるとされていいます。
審査の結果は、申請者に書面で通知されます。
審査の結果、酒類酒造免許が付与される場合には、付与通知と一緒に登録免許税についての案内がありますので、税務署または金融機関で免許1件につき15万円を納付します。
登録免許税の納付に係る領収証書は、「登録免許税の領収証書提出書」に貼付して、指定された期日までに税務署に提出します。
製造の開始日までに製造上の所轄税務署長に製造方法の詳細などを申告し、その申告に基づいて製造をします。
製造場ごとに、移出した酒類に係る課税標準および税額などを記載した申告書を提出し、申告書に記載した酒税額に相当する酒税を納付する必要があります。なお、輸出する目的で酒類を移出する場合は酒税が免除されますが、その場合も申告書を提出する必要があります。
輸出用清酒製造免許で製造したお酒は国内販売できない?
輸出用清酒製造免許は、輸出するための清酒を自ら製造する方を対象とした免許であることから、本免許により製造した清酒を、国内に流通させることを目的として、国内の販売業者や消費者に販売することはできません。
輸出用清酒製造免許には「輸出するために製造するものに限る。」と免許条件があることから、国内に流通させた場合については、免許条件違反となり、免許取消の対象となります。
まとめ
今回は、輸出用清酒製造免許について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
お酒の免許取得には、必要な書類も多く、時間も手間もかかるといわれています。
当事務所はお酒の製造・販売免許を取り扱っていますので、お酒の免許を検討されている方はご相談ください。
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