もう運行管理者の補助者を務めて5年かぁ。早いなぁ。
すごいね!運行管理者にもなれるんじゃない?
そうなのかな?運行管理者の資格があれば給与アップや昇進できるからとりたいな!
そうだね、どんな人が運行管理者の資格を取れるのか一緒に確認しよう!
運行管理者とは?
「運行管理者」は国家資格で、トラック運送やバス、タクシーなどの運送業者が安全に運行するために、会社で運行管理者の配置が義務付けられています。
ドライバーによる事故を防ぐために、運行管理者は大きな役割を担っており、ドライバーの健康状態や疲労状態を把握して、安全な運行をするための指導を行います。
自動車運送事業者(貨物軽自動車運送事業者を除きます。)は、一定の数以上の事業用自動車を有している営業所ごとに、一定の人数以上の運行管理者を選任しなければなりません。
また、複数の運行管理者を選任する営業所にあっては、運行管理者の業務を統括する者(統括運行管理者)を選任しなければなりません。
運行管理者の主な業務について
事業用自動車の運行の安全を確保するために、運行管理者として主に下記の3つの業務があります。
- ドライバーの勤務時間などの適正管理
乗務記録、運行記録計により乗務時間を把握し、ドライバーの適切な勤務時間、乗務時間の設定や必要に応じて交替運転者を配置するなど、乗務員の適正な勤務体制を確立する。 - 点呼による運転者の健康状態の把握など
運転者に対して、乗務前、乗務後に点呼を実施し、運転者の疲労、健康状態の確認を行い運行継続可否の決定を行うとともに、悪天候の際に運行経路の変更など安全な走行を確保するため具体的な指示を行う。 - ドライバーに対する指導監督
運行の安全を確保するため、ドライバーに対して日ごろから指導監督を行い、安全関係法令などを遵守の徹底を図る。
運行管理者になるには?
運行管理者として選任されるためには、自動車運送事業の種別に応じた種類の運行管理者資格者証(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、旅客、貨物)を取得する必要があります。
運行管理者の資格要件および配置基準(貨物関係)
- 資格要件
-
- 5年以上の実務経験および所定の講習を5回以上受講している
- 運行管理者試験に合格している
- 配置基準
-
- 保有車両29両まで1名(それ以降は30両ごとに1名追加する)
運行管理者の資格要件および配置基準(旅客関係)
- 資格要件
-
- 5年以上の実務経験および所定の講習を5回以上受講している
- 運行管理者試験に合格している
- 配置基準
-
- 貸切の場合 保有車両29両まで1名(それ以降は30両ごとに1名追加する)
- 乗合(乗用) 保有車両39両まで1名(それ以降は40両ごとに1名追加する)
運行管理者の要件と試験の流れについて
運行管理者試験は、貨物と旅客の2種類があり、年2回(8月ごろ・3月ごろ)それぞれ1ヶ月程度の期間に各地で実施されています。
運行管理者試験は、新規受験で下記のいずれかに該当する方が受験できます。
以下のどちらかの運⾏管理に関して、試験⽇の前⽇までに、1年以上の運行管理に関する実務経験がある⽅
■⾃動⾞運送事業(貨物軽⾃動⾞運送事業を除く)の⽤に供する事業⽤⾃動⾞
■特定第⼆種貨物利⽤運送事業者の事業⽤⾃動⾞(緑⾊のナンバーの⾞)
※実務経験については、実務経験承認者の電子メールアドレスを入力していただき、実務経験承認者からのメールによる承認が必要です。
新規受験の場合は、申し込み後に審査を経て受験を受けることができます。再受験の方は、CBT試験*専用サイトからアクセスすると申し込み手続きが完了します。
※公益財団法人運行管理者試験センター「受験概要」参照
*令和3年より、運行管理者試験がCBT試験(Computer Based Testing)に全面移行されました。CBT試験とは、テストセンターにおいてパソコンを使用して行う試験方法のことです。
運行管理者講習について
すぐに資格を取る必要がない人や資格を取るか決めていない人、または試験を受けたくない人は5年の実務経験さえあれば、5年の経験と5回の講習参加で運行管理者の資格要件をクリアすることができます。
運行管理者の補助者として仕事を続けていき、取得したいと思ったタイミングで資格の手続きをおこなえばいいだけなので、資格試験の勉強の必要もなく、気楽に取得できる方法として意外に人気です。
運行管理者の義務と責任
講習受講の義務
自動車運送事業者に選任されている運送管理者は、2年に1回の一般講習を必ず受講します。
なお、講習の種類および講習の対象者は下記の通りです。
種類 | 対象者 | 講習時間 | 内容 |
---|---|---|---|
基礎講習 | 運行管理者および補助者になろうとする者 | 16時間(3日) | 運行管理を行うために必要な法令および業務などに必要な基礎知識の習得を目的とする講習 |
一般講習 | 運行管理者 | 5時間(1日) | 運行管理者を行うために必要な法令および業務などに関する知識の習得を目的とする講習 |
特別講習 | 事故を引き起こした運行管理者 | 13時間(2日) | 事故の再発防止を図るための知識の習得を目的とする講習 |
講習を受けることで、その時の新しい法令や正しい知識を取得できるね
運転者の過労防止
自動車運送事業者は、ドライバーの過労運転を防止するため、労働時間に係る基準に従い勤務時間および乗務時間を定めなければならないとされています。
また、運行管理者は、定められた勤務時間および乗務時間の範囲内において乗務割を作成し、これに従ってドライバーを乗務させなければいけません。
ドライバーを守ることが、会社を守ることにつながるんだ
運行管理者の補助者について
運行管理制度では、運行管理者が一時的に不在のため業務を行うことができない場合や、運行管理者の負担軽減のため、国土交通大臣が認定した講習を受講した者の中から補助者を選任することができます。
要するに、運行管理者の業務をサポートする者を選任できる制度です。
この補助業務がの内容は下記のようなものになります。
- 点呼の一部分
- 運行指示に関する資料作成やドライバーへの伝達業務
この点呼の一部分とは、点呼の一部を行うのではなく、点呼できる回数が制限されているということです。点呼は毎日出勤時と退勤前に行うことが義務付けられています。その点呼をおこなう中で、1か月間の全点呼回数の3分の2までは、補助者がおこなってもいいとされているのです。
もう一つの資料作成やドライバーへの伝達業務に関してですが、まず補助者自身の資料を作ることはできません。あくまで運行管理者が考えた内容を補助者がまとめるというものになります。運行管理者の指導・監督のもと業務をおこなっていると考えましょう。
伝達業務も同じです。例えばドライバーの体調が優れておらず、運行に支障が出そうだなと感じた場合、運行管理者にその旨を伝えて、運行できるかどうかの指示をもらいます。そのあと、もらった内容の指示をドライバーに伝えるのが仕事です。
他にもアルコールが確認できた場合や速度違反を行った場合など、ドライバーの過失による問題などが発覚すれば、直ちに運行管理者に報告するのも補助者の仕事になります。
少し話は戻りますが、運行管理者の資格要件である実務経験として認められる仕事内容は、上記にあるような運行管理に関する仕事の補助業務です。
要するに、運行管理者の補助者として5年間実務経験をおこなえば、条件が1つクリアされたことになります。
運行管理者および補助者の兼任について
運行管理者や補助者がドライバーを兼任することもできます。
その場合には、自分で点呼することは認められていないので、ほかの運行管理者(あるいは補助者)が対面点呼を実施します。
ほかの運行管理者(あるいは補助者)がいない事業者では運行管理者は決してドライバーを兼任できないのでご注意ください。
兼任の内容 | 運行管理者 | 補助者 |
---|---|---|
ドライバーとの兼任 | 〇 | 〇 |
ほかの営業所の運行管理者と兼任 | × | – |
ほかの営業所との補助者との兼任 | × | 〇 |
統括運行管理者との兼任 | × | – |
整備管理者との兼任 | 〇 | 〇 |
まとめ
今回は、運送業に係る運行管理者について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
運行管理者の確保と運行管理者の業務負荷軽減は、多くの自動車運送事業者にとって早急に改善を図りたい重要課題の1つとされています。本記事を通して、運行管理者の選任の参考にしていただけると幸いです。
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